大判例

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広島高等裁判所 昭和27年(う)260号 判決

論旨は要するに原判決は重大な事実の誤認を犯し詐欺又は横領とならないものを有罪と認定した違法があるというのであるが、原判決挙示の証拠並びに原審の取調べた証拠に現われている事実によれば、被告人竹田は判示広島県購買農業協同組合連合会(県購連)業務部衣料課衣料係書記として同県内の単位農業協同組合(農協)に対する衣料品の割当配給等に関する事務を担当していたものであり、又被告人竹本は右竹田の前任者としてかつて前記県購連に勤務していたことのあるもの又原審相被告人玉田輝夫は右県購連可部支所の書記として安佐郡内の農協に対する配給衣料品の取扱並びにこれが保管等の事務を担当していたものであるが、右三名は判示の如くそれぞれ共謀又は単独で右配給品である衣料品を判示のような方法により騙取又は横領したものであることが認定できるのである。所論は右判示第一及び第二の詐欺につき、被告人竹田の作成した判示出庫指図書は元来真正に成立したものであり倉庫係員は真正の指図書によるのであれば当然これに基きその指図物件を出庫するのであるからその間欺罔意思も欺罔行為もなく従つて詐欺罪は構成しないと主張するのであるけれども、被告人竹田務の検察事務官に対する第一回供述調書の記載によれば本件物件中靴下百八十足(判示第三に当るもの)は可部支部管内の農協に対する正当の割当配給品であつたが、その他は全部県内の各農協に割当配給されるべき物件であつたことが認められ、又右指図書の作成に当つては上司の決裁を経たことは明かであるけれども上司は右の情を知らなかつたものであることも又右の証拠により認められるところであるから該指図書は形式上真正に成立したものと言い得てもその内容は不正のものであつたというべく、そして倉庫係員は右指図書の内容が不正のものであるとすればその指図物件を出庫する筈はないのであるから(山田満司、増田忠雄の検事に対する各第一回供述調書)これを正当の指図書のように装いこれに基づいて交付を受けた以上詐欺罪の刑責を免れることはできないものと言わねばならない。

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